養育費の増減額は認められるか。
2015年8月20日
子供の養育費について
養育費は子どもの成長にとって大切なお金です。
養育費が支払われなくなると、子どもの生活が脅かされ、子どもの利益を著しく侵害することにもなります。
いったん合意された養育費の支払いは、将来も安定的になされることが必要ですが、それでもたいした貯蓄もない場合、事情の変更によってその支払いが困難になることもあります。
この場合、養育費を支払っている父(母)が、子どもを養育している母(父)に対し、養育費の減額を求めることが可能となります。
当事務所への相談事例
当事務所の相談例では、父(母)がリストラされ失業した、会社の景気が良くなく残業もなくなり、ボーナスもなく、減収になったとの典型例の他、父(母)が再婚したことや、新たな配偶者との間に子どもが出生し、出費が多くなった、子どもが母の再婚相手と養子縁組したので、養父に養育費を負担してもらいたいなどの例があります。
このような場合、減額を求める父(母)は、母(父)と話し合いをすることになりますが、合意ができない場合、父(母)が家庭裁判所に養育費減額の調停もしくは審判を申立てることになります。
しかし、養育費の減額につきましては、家庭裁判所は慎重な態度をとっています。
一度決めた養育費の減額や免除を求めるのですから、それには事情の変更が必要になり、家庭裁判所は、減額、免除の理由について、父(母)から具体的な事情を聞くことになります。
又、当然ではありますが、事情変更を裏付ける資料の提出も求められます。
仮に、事情変更の存在が認められたとしても、現在の養育費の合意をした際に、将来の事情変更の可能性を考慮していたか否かが最も重要になります。
合意時に将来の事情変更の可能性を考慮していた場合は、養育費の減額は認められないことになります。
リストラや失業による減収は、比較的減額請求が認められやすいとは思いますが、単に再婚をして支出増があったというような理由だけでは減額は容易に認められないでしょう。
倹約をして従来通りの養育費を支払いなさいと言われるのが関の山です。
養育費増額の場合
以上は、養育費の減額の場合ですが、子どもを養育している母(父)が父(母)に対し、養育費の増額を請求することもできます。
この場合も母と父の間で合意ができない場合は、母(父)が家庭裁判所に養育費増額の調停もしくは審判を申立てることになります。
そして、養育費減額の場合と同じく、家庭裁判所は事情変更の有無、合意時に事情可能性を考慮していたか否かを判断することになります。
子どもが重い病気にかかり、継続的に治療費がかかる、母が病気やリストラにあい、失業し減収になった等の事情が増額の典型的相談例ですが、このような場合は養育費の合意時にそのような事情が予見できず、増額は比較的認められやすいと思います。
但し、子どもが成人に達するまでの養育費として、離婚時に父が母に1000万円を一括して支払い、将来、互いに金銭上の請求をしないと合意をしたが、母が私立学校の授業料や学習塾費用に使ってしまった事例で、東京高等裁判所は、「母は計画的に使用して子を養育する義務があった。」として、事情変更を認めなかったということがありますので、養育費の一括払いの場合は、将来、これ以上のお金はもらえないと思って対処し、金額を決めた方がよろしいかと思います。
最後に
40年以上の歴史のある当事務所は、養育費をめぐる諸問題についても数多くの経験を有しています。
養育費増減額の問題については、数多くの判例がありますので、事案に即し、適切なアドバイスをすることが可能です。
養育費の事でお悩みの方は、子どものことを最優先に考え、まずは当事務所にお電話下さい。
当事務所の弁護士が親切に対応します。

