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家庭裁判所は親権者を決めるのにどのように判断しているか
2015年8月12日
離婚に際し、子どもの親権について父母のいずれがなるかで争いになります。
この場合、子どもの親権者を家庭裁判所に決めてもらうことになります。
裁判官は子どもの利益、子どもの福祉を基準として定めることになっています。
しかし、家庭裁判所には母親優先の原則がありますので、乳幼児については、ほぼ100パーセントに近く、母親が親権者に指定されています。
乳幼児以外の子どもの場合
乳幼児以外の子どもの場合、親族の援助等の父母の事情と、子どもの事情とを総合的に判断して親権者が決められるということになっています。
親族の援助等の父母の事情
①監護能力(年齢、性格、健康状態)
②精神的・経済的家庭環境(資産、収入、職業、住居、生活態度)
③居住環境
④教育環境
⑤子どもに対する愛情の度合、従来の監護状況
子どもの事情
①子どもの年齢
②性別
③心身の発育状況
④環境への適応性
⑤子どもの意思
⑥子どもと親との結びつきの深さ
こうはいっても、たとえば子どもたちが従来どおり父もしくは母のもとで生活していれば、継続性の基準があり、現実に子どもを監護している父もしくは母が親権者に指定されることが多いです。
そして、家庭裁判所は子どもの強い希望がなければ、子どもを分離することには否定的であり、兄弟姉妹を分離して父母のどちらかを親権者に指定することはしません。
わが国の現状
現在、わが国は子どもの権利条約を批准しており、その12条は、自己の意見を形成する能力のある子どもには意見表明権を保障すべきだとしています。
そうした見地から、10歳前後の子どもであれば、意見を表明することは容易だとして家庭裁判所も子どもの意思を調査しています。
又、人事訴訟法32条4項は、親権者の指定にあたり、15歳以上の子どもについては意見を聴取しなければならないとしています。
いずれにしましても、乳幼児を除き、子どもの意思を最大限尊重して親権者が指定されることが原則となっていますので、離婚する夫婦も子どもの意思をまず優先されるべきだと思います。
子どもがすくすくと育つことが、父母にとって一番大切なことですので、親権については思いきった譲歩も必要になります。

